喘息と吸入薬の関係|なぜ吸入薬が必要なのか?
喘息は、気道の慢性的な炎症により、呼吸困難や咳、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという音)などの症状を引き起こす疾患です。
特に、発作が起こると気道が狭くなり、呼吸が苦しくなるため、素早い対応が必要になります。
そこで重要なのが**「吸入薬」**です。
吸入薬は、直接気道に薬剤を届けることで、炎症を抑えたり、気管支を広げたりする効果があります。
本記事では、持ち運び可能な吸入薬の種類と役割、選び方について詳しく解説します。
持ち運び可能な吸入薬の種類とその役割
吸入薬は、大きく2つの種類に分類されます。
- 長期管理薬(コントローラー):日常的に使用し、喘息の症状を抑える
- 発作治療薬(リリーバー):発作時に使用し、症状を素早く和らげる
それぞれの役割と、代表的な吸入薬を見ていきましょう。
1. 長期管理薬(コントローラー)|発作を予防する薬
吸入ステロイド薬(ICS)|喘息治療の基本薬
主な役割:気道の炎症を抑え、喘息の発作を予防する
吸入ステロイド薬(ICS)は、喘息治療の中心となる薬で、毎日使用することで気道の炎症を抑え、発作を防ぎます。
即効性はありませんが、長期間の使用で喘息の症状をコントロールできるため、発作の頻度を減らすのに役立ちます。
✅ 代表的な吸入薬
- フルタイド(フルチカゾン)
- パルミコート(ブデソニド)
- オルベスコ(シクレソニド)
💡ポイント
- 効果が出るまで1〜2週間かかる
- 使用後は口の中をうがいし、カンジダ感染を防ぐ
長時間作用型β2刺激薬(LABA)|気道を広げる
主な役割:気道を拡張し、呼吸を楽にする
LABAは、気管支の平滑筋を弛緩させることで、気道を長時間広げる効果があります。
通常、吸入ステロイド薬と併用され、単独では使用しません。
✅ 代表的な吸入薬
- セレベント(サルメテロール)
- オンブレス(インダカテロール)
💡ポイント
- 単独使用はNG(ステロイド薬と一緒に使う)
- 効果は12時間以上持続するため、1日1〜2回の使用でOK
長時間作用型抗コリン薬(LAMA)|気道の収縮を防ぐ
主な役割:気道の収縮を防ぎ、呼吸を楽にする
LAMAは、気道を狭くする「アセチルコリン」という物質の作用を抑え、長時間気管支を拡張します。
特に、COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者向けの治療薬ですが、喘息の長期管理にも使用されることがあります。
✅ 代表的な吸入薬
- スピリーバ(チオトロピウム)
💡ポイント
- 効果は24時間持続するため、1日1回の使用でOK
- COPDと喘息の両方に効果がある
2. 発作治療薬(リリーバー)|喘息発作時に使用する薬
発作治療薬は、喘息発作が起こったときに素早く症状を和らげる薬です。
発作が起きた際、持ち歩いていればすぐに使用できるため、喘息患者にとっては命綱とも言えます。
短時間作用型β2刺激薬(SABA)|即効性のある気管支拡張薬
主な役割:気道を一時的に広げ、発作を抑える
SABAは、気道の平滑筋を素早く弛緩させ、数分で呼吸を楽にする効果があります。
発作時の必需品であり、喘息持ちの人は必ず持ち歩くことが推奨されています。
✅ 代表的な吸入薬
- メプチンエアー(プロカテロール)
- サルタノールインヘラー(サルブタモール)
💡ポイント
- 発作が起きたときに使用(予防薬ではない)
- 1回の使用で4〜6時間効果が持続
- 使用頻度が高い場合は、喘息のコントロールが不十分な可能性あり(医師に相談)
持ち運び可能な吸入器の種類と特徴
吸入薬は、吸入器(デバイス)によって使用方法や利便性が異なります。
持ち運びしやすい吸入器を選ぶことも重要です。
1. 加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)
- 特徴:薬剤がガスの圧力で噴霧されるタイプ
- メリット:小型で持ち運びしやすい
- デメリット:吸入と同時に噴霧するため、タイミングが難しい
✅ 代表的な製品
- サルタノールインヘラー
- フルタイドエアゾール
2. ドライパウダー吸入器(DPI)
- 特徴:粉末状の薬剤を吸い込むタイプ
- メリット:吸入のタイミングを気にせず使用可能
- デメリット:吸引力が弱いと薬が十分に吸えない
✅ 代表的な製品
- タービュヘイラー
- ディスカス
まとめ:自分に合った持ち運び用吸入薬を選ぼう!
喘息持ちの人にとって、持ち運び可能な吸入薬は、発作時の命綱です。
発作を防ぐための長期管理薬と、発作時に使う**リリーバー(発作治療薬)**をしっかり理解し、適切に使用することが大切です。
💡 喘息吸入薬の選び方
✅ 発作を予防するなら「吸入ステロイド薬(ICS)」
✅ 発作時に即効性が必要なら「SABA(メプチンエアー・サルタノール)」
✅ 持ち運びやすさを考慮し、吸入器のタイプを選ぶ
喘息と上手に付き合いながら、快適な生活を送るために、自分に合った吸入薬を選びましょう!